
アノマリーとは
アノマリー(anomaly)とは「例外、変則、矛盾」といった意味で、理論では説明できない為替や株などの規則的な変動や現象のことを言います。
例えば、年初は「新春株高」で価格が上がっていき、2月上旬に最高値を付けたあと3月下旬に底を付ける「節分天井、彼岸底」といった現象がアノマリーの一種です。
普通、為替や株は景気が良ければ上がって景気が悪くなると下がるものですから、景気が悪いにも関わらず年初から節分にかけて上がって行き、天井を付けたら彼岸になるまで下がる、という現象はその理由をうまく説明できません。
または、「新月や満月の日に相場のトレンドが変わる」といったような、合理的な説明ができない現象がアノマリーなのです。
もちろん、アノマリーはいつも正しいわけではありません。
年によってその通り動く時もありますが、そうではない時もあります。
しかし、アノマリーの中には「季節的な変動」のような合理的に説明ができるアノマリーもあります。
例えば、年末にボーナスをもらった人たちが、年明けに「今年は投資をしよう」と考えて取引が盛んになったり、3月の企業決算期に向けて税金対策として損失確定の損切り注文が入るなどして、株や為替が全体的に下がるなどです。
特に「1月効果」は世界的なもので、1月の株価の上昇率は、ほとんどの国で年間平均よりも大きいです。
また、為替や株価は一定のトレンドに従って上下動を繰り返す現象も見られるため、月の満ち欠けのように28日周期で相場のトレンドが変わるのも、あながち間違いでもないようです。
月別アノマリー
アノマリーは占いのようにとらえられることもあって、あまり当てにしない方がよいという人もいますが、少なくとも季節的な変動に関してはある程度合理的な説明ができることもあるため、まったくのデタラメとは言い切れない部分もあります。
アノマリーを利用した投資をすることにより、「いつもと違う動き」を事前に察知することができますし、そうしたことが分かれば大きな損失を避けるためのリスク回避にも繋がります。
そのため、「アノマリーは当てにならない」と一蹴せず、世間一般で言われているようなアノマリーは、ある程度意識しておいた方がよいでしょう。
月 | アノマリー | トレンド |
---|---|---|
1月 | 新春株高、2日新甫(祝祭日などにより2日が月初立会日となった場合)は荒れる、1月効果 | 売り一巡後、買い先行 |
2月 | 節分天井、彼岸底 | |
3月 | 決算対策売り | |
4月 | 新年度相場 | 機関投資家の運用開始 |
5月 | 鯉のぼりの季節が過ぎたら株は売り 5月に売って、どこかへ行け(Sell in May and Go Away) |
相場が荒れる場合も |
6月 | 梅雨調整 | 材料難で調整ムード |
7月 | サマーラリー | 買いが入りやすい |
8月 | お盆閑散相場 | 8、9月は夏枯れで下がる |
9月 | 彼岸底、決算対策売り | |
10月 | 頭を垂れる稲穂相場 | 売り一巡後、買い先行 |
11月 | ヘッジファンドの決算月 | 決算対策売り |
12月 | 12月の株安、餅つき相場 |
色々なアノマリー
・ご祝儀相場(大納会、大発会は上がりやすい)
・6月から10月にかけては安値を付けやすい
・12月の株安、1月の株高
・満月、新月が転換日
・アメリカの中間選挙の年は下がり、大統領選挙の前年と選挙の年は上がる。
晴天効果
「晴れの日は上がり、曇り・雨の日は下がる」という天気のアノマリー。
このアノマリーは、日本を含めた世界の株式市場で見られます。
ウィークエンド効果
悪いニュースが週末に公表されることが多々あるため、週末から月曜日にかけて相場が下落する。
マンデー効果
月曜日は週末の相場の流れを引き継ぐ傾向がある。
干支のアノマリー
「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」
サザエさん効果
テレビアニメ「サザエさん」の視聴率が上がると株価が下がり、視聴率が下がると株価が上がるという風変わりなアノマリーです。
「サザエさん」は、1969年10月5日の初回放映から現在まで視聴率は20%前後と5人に1人が観ている国民的番組です。
このサザエさんが放映されるのは日曜日の午後6時30分からあのですが、この時間の視聴率が高いということは在宅率が高いということで、「自宅にいる→買い物や外食をしていない→お金を使わない→消費が増えない」という流れの結果から、株価が上がらないというアノマリーになっています。
一見すると面白いアノマリーですが、連動性を示す相関係数はなんと0.86と高い数値(-1~1までの値をとり、1に近いほど連動)を示しています。
他にも、プロ野球で「巨人が優勝すると、株価が暴落する。中日が優勝すると、政変がおこる。阪神が優勝すると、長期上昇波動に突入する」という面白アノマリーもあります。